« 藪椿 「やぶつばき」 | トップページ | ランニングシューズのかかと修理 »

包丁の鋼 (はがね)

Photo_2色鉛筆画

4月に入り、新年度の新しい生活がスタートします。

1人生活を始めたり、子供のお弁当の準備に改めて包丁を使いたい等。

何気なく使っている包丁って、どうなっているのでしょう。

♥ 料理のレパートリーを増やそう。

♥ 料理学校で料理の勉強しよう。

♥ 子供の弁当を楽しくつくってあげよう。

♥ 一生使えるものなら、プロの使う包丁を使ってみたい。

● 日本の包丁に使われている鋼(はがね)

 島根県には良質な砂鉄が多く、製鉄が盛んでした。

 島根県安来市(やすきし)に日立金属の安来工場が有ります。

 国内の高級鋼はここで作られています。(YSSヤスキハガネ)

 外国産はオーストラリア産が多く、日本産より質は落ちます。

● 日立金属で作られる炭素鋼

 ① 普通の炭素鋼から不純物を取り除いたもの➡    黄紙2号

 ② 黄紙2号から更に不純物を取り除いたもの➡    白紙2号(基準)

 ③ 白紙2号にタングステンやクロムを添付したもの➡ 青紙2号

 ④ 青紙2号に炭素を更に増加させたもの➡       青紙1号

 ⑤ 青紙1号に炭素、タングステン、クロムを増加 ➡  青紙スーパー

 ※ 日本鋼と書かれた包丁は、無調整の安価な鋼を使ったものです。

● 黄紙2号

 SK鋼から不純物のみを取り除いた鋼材。

 家庭用の包丁に使用される鋼材になります。

 安価、刃が食材に良く噛む切れ味、難点は良く錆びる。

 一般的な使用鋼なので、説明はここまでにします。

● 青紙2号と白紙2号の包丁を使ってみたいと思います。

 プロの調理師が使う包丁をぜひ使用してみたい。

 ※ 白紙2号がそこそこの硬度を持ち、研ぎやすく、食材に切れ込む。

 不純物が無い分、食材に鋭く切れ込みます。

  噛みつくような鋭さが好まれるが、青紙2号のように切れ味は続かない。

 タングステンやクロムを加えないので、安価方向へ、反面技術料で高価。

 最初に包丁を買うのは、白紙2号鋼が使いやすそうです。(研ぎやすい)

 白鋼は鍛冶屋の腕が、包丁の切れ味に現れる鋼材でもある。

 当たり外れが出てしまい、見た目よりは良い店、良いブランド品が安心。

 日本刀に近い切れ味は、白紙1号本焼きで造る、造るのも扱いも難しい。

 白紙1号Aは、刀剣を作る「玉鋼」に最も近い素材です。

 ※ 日本刀と聞くと、幻の切れ味と思うけれど、包丁の技術の方が

 格段に進歩しています。日本刀は歴史的な文化を引き継ぎ当時の

 まま材質等は守られています。

 切れる事より、折れないことが最優先で、実際は鉄棒(刀)での

 叩き合いが戦争だったのではないかと言われる。

 刀に油がまとわりついて、切れなくなってきます。

 

 ★ 究極の切れ味を求めるか、切れ味が長く保てるものを求めるか?

 一品にこだわる料理屋さんか、数をこなすホテルや旅館用かでしょうか。

 キャベツの千切り➡ 刺身を切るように包丁をスライドさせては使わない。

    ほとんど上から下に、見えない速度で切っていきます。

    このような使い方は、白鋼の切れ込みが良いですね。

    薄刃包丁、出刃包丁などはスパッと切れるので都合良い。

 刺身の料理➡ 包丁全体で滑らかに切っていきます。

    スライスさせて滑らかに切っていくのに、青鋼は滑るので扱いやすい。

    白鋼は滑る前に、スッと切れ込んでしまう。

    青紙1号、青紙スーパー、白紙1号、などになると切れすぎるので

    きめの細かい砥石で滑るように調整も必要になってくる。

    トマトを置いて、横から包丁の刃を入れると、トマトを押えなくても

    スーッとスライスができてしまうほど、良く切れます。

 ※ 青紙2号は、料理の包丁として総合的に優れています。

 しっかり叩かれて絞った包丁は、青紙1号鋼のような硬さになる。

 青紙は、切れ味が長続きしますので、ホテルや旅館の料理作りに最適、

 何百かの料理にも持ちこたえ、プロの料理人も使っています。

 ということは、家庭なら一度研げば、長く使えるんでしょうね。

 ※ 青紙1号や青紙スーパーは、しっかり研いで使う必要があり、

 青紙スーパーの本焼きなど、錆びを乗せなければ一生使えます。

 セラミックス砥石等を使いこなせれば、いつも切れ味最高です。

 硬い包丁は薄く研ぐことができます。

 薄い刃は、カミソリのように切れます。

 (その分硬いもの冷凍品を切ると、刃がボロボロになってしまう)

 ※ 青紙スーパーやハイス鋼は、包丁としての使われ方が少ない。

 わずかに青紙スーパーを芯にしたダマスカス鋼などが見られます。

 ほとんどが割り込みの洋包丁や採切に利用されている。

 青紙やハイスの使われ方は、鉋(カンナ)や鑿(ノミ)や彫刻刀です。

 食材よりもはるかに硬い、木材を削っている。

 つまり、包丁としての使い方には、向いていないのかも知れません。

 青紙スーパー鋼は、鍛造は禁止されていて、鍛造用ではなく

 ブレスカット用となっています。

 青紙は割り込み特に本割り込み(3枚)には使いにくい材料でもある。

 軟化点が低くて、地金と鍛接すると硬い板で柔らかいゼリーを挟んだ

 ようになってはみ出てしまう。

 片刃(付けはがね)や、本焼きという外側を鋼でくるむようなつくり

 以外には使うことは極めてまれなことです。

 特徴を理解しながら究極の包丁を使うのが、醍醐味なんでしょうね?

● 1号、2号、A、B

 白紙➡ 1号、2号、3号、「白紙鋸材(のこぎり)」があります。

 白紙1号と、白紙2号にはAとBが存在します。

 ※ 白紙2号に炭素を多く加えると、白紙1号になります。

 より硬くなり、しなやかさが無くなりますが、鋭い切れ味が出る。

 白紙1号は、選ばれた鍛冶屋にしか扱えないほど難しいと言われる。

 面倒でも、こまめに研ぐことで長所の切れ味を引き出します。

 ※ AとBは、

 Aの方が炭素量が多く、硬く、鋭くなります。

 クロム等の添加物が増えるので、Bのパワーアップ版です。

● 本焼きと霞(合わせ)

 ※ 本焼きは、単一の鋼材で製造される「全鋼製」の包丁。

 ※ モリブデン等も単一の鋼材なので、本焼き表示され勘違いしてしまう。

 一般的には全体に高温で熱する焼き工程を行い、

   その後、折れやすい首元を再度熱して、焼きなまし工程を行う。

 日本刀の焼き入れ方法のような「本焼き」は、刃先以外の焼きを

   入れない部分に、焼き土や砥粒を厚く盛り、一度の焼き工程を行う。

   歪みが出ると、修正は難しい、本焼きは高度な技術と経験が必要。

   本焼きは、日本刀と同じように、芯の部分に軟鉄を使い外側を

   最中(もなか)のようにくるんだものです。

   研いでは長く使うものではないようです。

 安来白紙鋼などの素材を用い、大変手間のかかる作業になり高価です。

   柳刃や蛸引きなどの刺身包丁に、最高峰として使用されます。

   全体が鋼なので、鏡のような光沢がある。

 ※ 霞(合わせ)は、軟鉄と鋼を組み合わせた「複合鍛造」の包丁です。

 一度に刀身を焼き入れしても、軟鉄部には焼きが入らず、

   鋼を粘り強い軟鉄で補強したような構造になります。

 刃欠けや割れる心配がなく、硬い食材を切っても刃こぼれしにくい。

 鋼の、刃の部分に光沢があり、軟鉄部は霞がかかったくすみがある。

 欠点は異種材を張り合わせてあるので、歪みや返りが発生することも。

 霞(合わせ)は、力を加えて反りを直すことも可能です。

 ※ 折れない粘り強さを出すために、鋼と鉄またはステンレス等で

 合わせて作ることが多い。

 両刃➡ 鋼を中に両側から挟み込みます。

       両側から鋼に向かって研ぎますので、切れ味は落ちるが

       刃が長持ちして切れ味も持続して扱いやすい。

       右利き、左利き、どちらでも使いやすい。

       片刃の方がジャガイモ、ニンジンはスパッと切れる。

 片刃➡ 鋼は裏側に露出するように、鉄等で合わせます。

       両刃に比べて刃の食い込みが良く、プロの方は型刃を選ぶ。

       ただ右利き、左利き用を選ぶ必要が有るのかな?

       両刃よりも砥石で研ぎやすいので、片刃の包丁は好まれる。

 割り込み➡ 鋼を合わせる時に、鋼を中に閉じ込めて背中の部分に

       鋼が見えません。

       物によっては、研いでいくと鋼が無くなってしまう。

       割り込みは、鋼が2/3位まで入っています。

 三枚合わせ➡ 鋼を両側から挟み、背の部分には鋼が見えます。

       この場合は、どこまで研いでも鋼が残り使い切ることができる。

       業者によって、「本割り込み」表示するところも有ります。

 合わせ➡ 片刃の鋼を片方から鉄等を合わせたもの。

● 注意 

 鋼の包丁は良く切れるけど、冷凍した油揚げ、骨付き魚、冷凍肉、

 骨付き肉などに使うと、なんと刃先がボコボコになってしまいます。

 普段仕様の三徳包丁や出刃包丁などを、とっておくと安心です。

 青鋼は硬度が高いぶん欠けやすい、➡薄いので冷凍品等で一気に

    冷やされても欠けるのではと言われる。

    そのため雪国地方では、鎌とか包丁も白鋼が多いと思われます。

● その他

 ステンレス➡ 錆びにくいメリットは大きく、日常の家庭で使いたい。

 銀シリーズ➡ 日立金属ではステンレスのシリーズも作っています。

          銀1、銀3、銀5という種類

          鋼並みの硬さと、錆びにくさをもった銀3が使われる。

          「銀紙3号」、硬度60前後で研ぎやすさがプロに好まれる。

          また「手打ち」が可能で、「鍛造」できるステン鋼なんです。

 武生特殊鋼材 V金10号➡ 武生特殊鋼材(株)が開発したステンレス鋼

          ★ V金10号は手術用のメスに使われています。

          クロムを多く含んだ錆に強いステンレス鋼。

          炭素含有率が高く、脱炭防止にコバルト添付しているため、

          硬度が高く、錆びずに、刃持ちがよく長切れする。

          ★ 錆びない刃物鋼の中では最高のものです。

          女性が台所で使う包丁は、鋼の場合どうしても

          錆が出てしまい、見た目や衛生面で気になります。

          なら毎日砥石で研げばいいけど、雑用が山ほど有る。

          V金10号は錆びないし、長く切れるので良いですね。

 粉末ダイス鋼カウリX➡ 高級ナイフの鋼材。

          ものすごく硬度が高いステンレス。

          刃がかなり長持ちします。

          硬すぎて研ぐのが大変。

 ZDP189➡ 日立金属が作っている高級ナイフ用の鋼材。

          カウリXに近いくらいの硬度があり、刃が長持ちする。

 SUS420➡ JIS規格によって定められたもの。

          炭素量によってSUS420HCなどがある。

          安価で大量生産しやすく、一般的な安い包丁。

          ステンレス対応の砥石を使っても、なかなか刃がつかない。

 ダマスカス➡ 縞模様。

          刃ではなく、模様なので直接の切れ味には影響しない。

● 砥石

 砥石は「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」があります。

 簡単には、「中砥石」 だけでも切れるようになります。

 「仕上げ砥石」 を使うとカミソリのような切れ味になります。

 荒砥石➡ 120~600 刃が欠けた時に平らに修正する。

 中砥石➡ 800~2000 切れ味が悪くなった時に使う。

 仕上げ砥石➡ 3000~10000 切れ味を追及する時に使う。

 ※ 硬い包丁が多いので、セラミックス砥石も使われる。

 ※ 8000~10000 など粒度(品番)が高いと、刃がツルツル

 になって、切れなくなってしまうので注意。

 刃を拡大するとギザギザのノコギリ状が、切れ込みやすく良く切れる。

 ★ 日本刀は錆びないように灰汁を使い、水では研がない。

● 砥石の使い方

 「荒砥石」「中砥石」は、使う前に30~60分水につけておきます。

 砥石の上に水をかけて、砥石の削れ液を流さないように注意します。

 というのは、砥石の削れ液で包丁を研ぐのが、ベストな研ぎ方です。

 ※ 「仕上げ砥石」は水を吸わないので、補充しながら研ぎます。

 ★ 包丁は砥石にできるだけ長めに当てながら研ぎます。

 手を添えて、45~90度位で研ぎそうですが、

  刃を全部乗せる感じで研ぐようにします。

 中央が少しでもえぐれていると、食材は皮一枚残り料理はダメになる。

 砥石の中央が凹んだら、「荒砥石」で「中砥石」を平らに研ぎます。

 刃の角度は、10円硬貨1~2枚傾ける感じです。

 ※ ハマグリ刃➡ 身離れと長切れ

 切刃中央にもう一本シノギ線を入れる感じで二段刃にして、

 そこをローリングしながら丸めていきます。

 中砥石を使って、指でなぞるように曲面を確かめながら調整します。

 3000位の砥石で仕上げに糸切刃をつけると良い。

 

● ステーキナイフ

1
 こちらは、包丁ではないのですが、ステーキナイフがすばらしい。

 フランスで行われた、世界最高峰の料理コンクールで、

 日本チームが使用した、福井県越前市の龍泉刃物製ステーキナイフ。

 料理も日本人初の3位とすばらしいものでした。

 審査員24人が、あまりの切れ味に半数が持って帰ってしまったほど。

 手作りのため1本約2万円、流れるような美しさが良いですね。

● 芸術的な日本の包丁、

 旬の食材を限りなく美味しく、料理することができます。

 刺身も、寿司も、野菜も、果物も、細胞を壊さないで、

 切り口の角が立ち、表面はつぶれないで美しく光っています。

 身近な旬の食材を、食べたいなーと思います。

● 包丁

  ★ プロ向きの超高級

  堺➡ 一竿子忠綱、水野鍛錬所、

  築地➡ 子の日

  ★ 有名な包丁

  西の➡ 築地友次(京都の本店とは別会社)、堺一文字光秀、

  東の➡ 築地正本(浅草の本店とは別会社)、杉本、日本橋の木屋、

  ★ 刀匠が玉鋼で打ってる包丁

  宗近兵衛 (むねちかひょうえ)

  藤原照康刃物工芸

  ★ 現在日本の包丁は、1万円位で良いものが買えます。

  それは大量生産のおかげで、日本中をまたがった分業が

  されているため、基本的な型や材質は同じものです。

  その辺を理解して、見た目、銘柄、ブランド品などを選びます。

  日本製の和包丁は柄に差し込んで固定します。(その分軽い)

  洋包丁は柄に金具で固定するので、柄の方まで金属板が有り重い。

 

  包丁の厚さによって、高価な造りでもジャガイモ、ニンジン、大根等

  は切りにくい、ペラペラの薄く安い包丁の方が良く切れます。

  切れるというよりスーっと、包丁が入って行きます。

  切れるんだけど、スーッと入って行かないもどかしさが残念。

  高価な包丁を買ったのに、切れないじゃないかと思うので

  切れ方の好みも考えておきたいです。

  青紙、白紙、いろいろあるけど、切れ味は鍛冶屋の火入れでも

  技術次第で変わります。

  鍛冶屋の腕次第なので、そこを見極めて探し出すのが醍醐味です。

  鋼材の値段は、包丁の価格に占める割合は数%未満です。

  鋼材を変えても数百円しか変動しません。

  高価な包丁は鋼材よりも、手間が多くかかっているということです。

  できたら日本の鋼材料の包丁を使いこなしたいです。

  見た目が綺麗な、V金10号の包丁も良く切れて良いですね。

 

 

 

 

|

« 藪椿 「やぶつばき」 | トップページ | ランニングシューズのかかと修理 »

趣味」カテゴリの記事